「今よりスキルアップしたい!少しでも安く勉強したい!」と思ったときに役立つのが、「教育訓練給付制度」です。
この教育訓練給付制度、会社に在職中でも使えるって知っていますか?
しかも会社にバレずに使えてしまうんです!
毎月の給料から引かれてしまう雇用保険をフル活用するために、ぜひ教育訓練給付制度の概要や申請方法を覚えておきましょう。
在職中だけどこっそりスキルアップして転職活動を成功したい人や、リーズナブルに専門的な能力を身に付けたい人は本記事を参考にしてみて下さい。
もくじ
在職中でも利用可能!教育訓練給付金制度とは?
教育訓練給付金制度とは
働く意思のありキャリアアップしたい人を支援するために、さまざま講座の受講費用を国が一部補助してくれる制度です。
お金がなくて勉強できない人を助ける制度なので、資格を取って将来に生かしたいならぜひ活用してみて下さい。
財源は私達が払っている雇用保険。条件を満たす人は使わないと損なんです!
雇用保険に一定期間加入していれば、在職者も離職者も対象です。
ただし、退職した翌日から1年以内(妊娠・出産などの事情があれば4年以内)に受講を開始する必要があり、期間を過ぎた場合は対象から外れてしまいます。
ポイント
平成26年10月には制度が拡充され「一般教育訓練給付」に加えて、より専門的な技能が受けられる「専門実践教育訓練給付」も追加されました。
違いを説明していきますね!
一般教育訓練給付とは
一般教育訓練給付とは、雇用保険の加入者や被保険者であった離職者が、厚生労働省大臣が指定する一般教育訓練を受講して修了した場合、支払った額の20%(上限10万円)を支給してくれる制度です。
支給の要件と対象者
一般教育訓練給付は、「雇用保険の被保険者期間が3年以上ある人」が条件ですが、初めて受給する人は加入期間が1年以上でも受けられるというのがポイントです。
また、一度支給を受けても前回の受給から3年以上経っていれば再度受給が可能です。
逆に受給開始日の前日から3年以内に教育訓練費の支給を受けていた場合は、支給を受けることができませんが、平成26年10月1日よりも前に教育訓練給付金の支給を受けた人に対しては、この扱いは適用されません。
要件としては軽めなので、多くの人が受けられる制度と言えます。
給付額と給付回数
教育訓練費の20%(上限は10万円)です。
例えば20万円の費用がかかっても、その20%分の4万円は支給を受けることができます。
訓練期間に関わらず給付回数は1回となり、4,000円を越えない場合は支給されません。
一般教育訓練給付でねらえる講座一覧
情報系の資格や士業(税理士や社労士など)、FP、TOEIC、宅建などの資格取得のための講座が対象になっています。
LECやTAC、ユーキャンの講座も対象になっています。
以下が一般教育訓練給付で受けられる人気講座の一覧になります。
- 日商簿記
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- 宅地建物取引士
- 社会保険労務士
- 行政書士
- 医療事務
- 歯科助手
- 保育士
- 調剤薬局
- 社会福祉士
などなど様々な資格で支給が受けられます。
その他の資格の講座はこちらのリンクから検索することが可能です。
専門実践教育訓練給付
専門実践教育訓練給付は、2016年の10月から拡充された制度です。
看護師、保育士、栄養士、介護福祉士、社会福祉士、理学療法士、作業療法士など、国家資格を含んだ専門的・実践的な訓練が対象になるので、給付率は一般教育訓練給付よりも高いです。
さらに訓練の受講を修了して、資格修得・1年以内に就職に結びついたという場合は、追加の支給を受けることも可能です。
また訓練期間中の6カ月ごとに支給申請ができるため、訓練を受けながら支給が受けられるのも良いところです。
ただし、どこのスクールでも認定されるわけでなく、厚生労働省から指定を受けたスクールの対象講座のみが対象となっています。
支給の要件と対象者
初めて利用する場合、雇用保険に加入している期間が「2年」と長く設定されている点が、一般教育訓練給付と異なります。
専門実践教育訓練給付も、一度支給を受けていても前回の受給から3年以上が経っていれば再度受給ができます。
受給開始日の前日から3年以内に教育訓練費の支給を受けていた場合は、支給を受けることができません。(ただし、平成26年10月1日よりも前に教育訓練給付金の支給を受けた人に対しては、この扱いは適用されません)
「自分が対象者かどうかわからない」という場合は、最寄りのハローワークにて確認しましょう。
給付額
給付額は訓練にかかったお金の50%(年間上限40万円)となります。
また、専門実践教育訓練を受けた修了後1年以内に、目標としていた資格を取得等して就職している場合は、さらに追加で20%の金額が支給されます。
ですので、なんと最大70%(年間上限56万円)の補助が受けられます!
専門実践教育訓練給付でねらえる講座一覧
専門実践教育訓練はその名の通り、資格取得や就職に直結するような講座がたくさんあります。
介護・看護士などの業務独占資格から法科大学院、会計大学院などの専門大学院も対象になっています。夜間のコースもあるので仕事をしながらでも通うことができますね。
以下が専門実践教育訓練で受けられる人気講座になります。
- 介護福祉士
- 看護師
- 保育士
- 建築士
- 美容師
- 教職員大学院
- 法化大学院
- 情報処理安全確保支援士
- ネットワークスペシャリスト
- 歯科衛生士
- 調理師
- 栄養士
教育訓練給付制度【一般教育訓練給付】の利用方法と申請方法
それではまず「一般教育訓練給付」の利用の流れと申請方法について解説をしてきます。
必要な書類や注意点についても詳しく解説をしていきます。
一般教育訓練給付制度の利用方法
step
1対象者か確認する
気になる講座を見つけて教育訓練給付制度を実際に利用するには、まずは自分が対象者かを調べる必要があります。
前の項目で解説したように雇用保険の加入期間を一定満たしていることが条件となるので、分からない場合は管轄のハローワークに聞いてみましょう。
step
2講座の申し込み
無事に確認が取れたら次は講座の申し込みです。
まずは、ハローワークと学校に「一般教育訓練給付制度の利用条件を満たす講座かどうか」を確認しておきましょう!
スクールホームページから申し込む場合、「給付制度を利用する」に必ずチェックを付けてください。
step
3本人確認を受ける
スクールから連絡が来たら受講開始時に身分証明書類を提出しましょう。
このとき、会社に在職中であっても会社の証明書の提出などは一切必要なし!スクールやハローワークから勤務先に通知が行くこともないので安心して申し込みましょう。
step
4講座を受講し課題に合格する
スクールによって異なりますが、必須課題を学習期間内にすべて提出し修了課題・評価が基準点を上回ることが求められます。
注意ポイント
講座を修了できなかった場合、給付は受け取れません!
step
5書類一式をハローワークに提出して申請
「修了証明依頼書」など必要書類をまとめて管轄のハローワークに提出します。窓口でも郵送でも可能です。
注意ポイント
申請できる時期は講座修了日の翌日から1か月以内。絶対に遅れないようにしましょう。
step
5支払った学費の一部が振込み
受講講座によって戻ってくる金額に差がありますが、指定の銀行口座におよそ1か月以内に振り込まれます。
一般教育訓練給付の申請方法
一般教育訓練給付の支給申請手続きは、受講した本人が受講を修了した後に、原則として本人の住所を管轄するハローワークに対して書類を提出することによって申請できます。
なお病気や怪我、もしくは在職中などでハローワークへ行けない場合や、やむを得ない理由があると認められた場合は、代理人または郵送によって申請できます。
代理人を使う場合には、
- 本人と代理人の間柄
- 代理人の所属
- 代理申請の理由
以上を明記した「委任状」が必要になります。
やむを得ない理由があると認められるか否か?および必要な証明については、事前に本人の住所を管轄するハローワークに問い合わせて見て下さい。
必要な書類
一般教育訓練給付に、必要な書類は以下の通りです。
ポイント
- 教育訓練給付金支給申請書
- 教育訓練修了証明書
- 領収書
- 本人・住所確認書類
- 雇用保険被保険者証(雇用保険受給資格者証でも可能です。コピーOK)
- 教育訓練給付適用対象期間延長通知書
- 返還金明細書
クレジットカード等による支払いの場合は、クレジットカード契約証明書または必要事項が付記されたクレジット伝票が発行されます。
また、返還金明細書は「領収書」「クレジット契約証明書」が発行された後に教育訓練経費の一部が、指定教育訓練実施者から本人に対して還付された場合に、指定教育訓練実施者が発行した書類になります。
講座受講後に発行された書類や領収書は、支給申請時に添付できるよう必ず保管しておきましょう。
支給申請の時期
支給申請の時期ですが、一般教育訓練の受講修了日の翌日から起算して1か月以内となっています。
郵送の場合は1か月以内の消印日までに支給手続きを行う必要があります。(適用対象期間の延長中に受講を開始して、修了された方も含む)
教育訓練給付制度【専門実践教育訓練給付】の利用方法と申請方法
それでは次に「専門実践教育訓練給付」の利用の流れと申請方法について解説をしてきます。必要な書類や注意点についても詳しく解説をしていきます。
専門実践教育訓練給付制度の利用方法
step
1対象者か確認する
気になる講座を見つけて教育訓練給付制度を実際に利用するには、まずは自分が対象者かを調べる必要があります。
雇用保険の加入期間を一定満たしていることが条件となるので、分からない場合は管轄のハローワークに聞いてみましょう。
step
2ジョブカードの作成
申請手続きを行う前に、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」を受けて、「ジョブカード」を作成します。
ジョブカードは、自己理解・仕事理解・職業体験の棚卸、キャリアプランの作成を行うことで、自分の能力や将来への希望を整理するツールです。
ジョブカードに関しての詳しい説明は「ジョブ・カード制度総合サイト」に掲載されています。
step
3受講前申請手続き
ジョブカードと、ハローワークで提出する「教育訓練給付金及び教育金連支援給付金受給資格確認票」を、訓練受講開始日の原則1か月までにハローワークに提出して受給資格の確認手続きを行いましょう。
step
4支給申請
専門実践教育訓練の受講を修了したら、受講修了日の翌日から1か月以内に後述する書類をハローワークへ提出し、申請手続きを行いましょう。
注意ポイント
講座を修了できなかった場合、給付は受け取れません!
step
5資格を無事取得!「追加給付」の支給申請
また受講した専門実践教育訓練を目標とした資格を取得し、訓練を修了した日の翌日から1年以内に一般被保険者として雇用された場合、さらに教育訓練経費の20%にあたる追加支給を受けられます。
すでに雇用されている人は、専門実践教育訓練を修了して、かつ資格を習得した日の翌日から一か月以内に申請しましょう。
もちろん在職中であっても会社にバレることなく支給されます!
専門実践教育訓練給付の申請方法
専門実践教育訓練給付の申請には、一般教育訓練給付と書類が少し異なるので注意ましょう。
「受講前の必要書類」と「支給申請の提出書類」の2つがあるので、それぞれに説明をしていきます。
受講前の必要書類
受講前の提出書類は以下の通りです。
- 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
- ジョブ・カード 訓練前キャリア・コンサルティングでの発行から1年以内のもの、または「専門実践教育訓練の受講に関する事業主の証明書」(証明書の様式はハローワークで配布されます)
- 本人・住居所確認書類
- 雇用保険被保険者証
- 教育訓練給付適用対象期間延長通知書
- 写真2枚(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)
- 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
本人確認書類として運転免許証・住民基本台帳カードが必要です。
こちらを持っていないという人は
- パスポート
- 住民票記載事項証明書(住民票の写しまたは印鑑証明書)
- 国民健康保険証(健康保険被保険者証)
以上のいずれかが必要になります。
「払渡希望金融機関指定届(「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」に記載欄あり)」に払渡先希望金融機関の確認印がありますが、金融機関の確認を受けずに、支給申請書と同時に申請者本人の名義の通帳、またはキャッシュカードを提示しても対応可能です。
また雇用保険の基本手当の受給資格者等で、既に「払渡先希望金融機関指定届」が届けられている場合は、届け出なくても大丈夫です。
ポイント
郵送の場合は事故防止のため、住民票記載事項証明書(住民票の写しまたは印鑑証明書)と民生委員の証明、公共料金のいずれかが必要になります。
支給申請の提出書類
専門実践教育訓練の受講が修了したら、受講修了日の翌日から1か月以内に次の書類をハローワークへ提出し、申請手続きを行いましょう。
- 教育訓練給付金の受給資格者証(教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証)
- 教育訓練給付金支給申請書(教育訓練の受講中と受講終了後に指定教育訓練実施者が配布してくれる用紙)
- 専門実践教育訓練修了証明書
- 領収書
- 返還金明細書
資格をしたことによって支給申請をする場合には、資格取得を証明する書類が必要になります。
支給申請の時期
専門実践教育訓練を受講中・・・受講開始日から6か月ごとの期間(支給単位期間)の翌日から起算して1か月以内がハローワークでの支給申請期間
専門実践教育訓練が修了した場合・・・受講修了日の翌日から起算して1か月以内が支給申請期間
やむを得ない理由があると認められた場合に郵送で支給申請を行う場合は、一か月以内の消印日までが期限になります。
これを過ぎてしまうと申請が受け付けられません。
在職中に教育訓練給付金制度を使ったら会社にばれるの?
教育訓練給付制度は雇用保険の制度になりますが、手続きは会社を一切通さないので、会社にバレることがありません。
自分でハローワークに直接申し込みをする必要がありますが、給付金は直接自分に支払ってくれますよ。
ただし、手続きに必要な雇用保険被保険者のコピーをうっかり会社に請求すると、使用用途を聞かれてしまうかもしれません。
念のためにハローワークで発行するようにしましょう。
おわりに
ということで今回は、会社に在職中でも利用できる教育訓練給付制度について書かせて頂きました。
資金面が心配で資格取得をためらっていた場合でも、制度を利用してきちんと勉強すればお金が返ってきます。
普段支払っている雇用保険料が財源になっているので、自分が払った保険料を有効活用するためにもぜひ利用を検討してみて下さいね。
この記事を書いた人

- 埼玉出身のアイドルオタク。大学時代は就活に失敗してフリーターになってしまう。
その後一時は就職するも仕事を辞め、現在はフリーライター。
推しメンに多く会い行きたいという思いから節約を始める。そのなかでFPの資格も取得。
オタク活動費は必要経費。推しメンの笑顔はプライスレス。
過去の記事
光熱費2020.11.25電気代を節約できる暖房器具を紹介!目的に合わせた暖房器具で電気代を安くしよう
コラム2020.11.24節約しすぎはストレスで反動に!無理なく続けられる節約方法14選
税金2020.10.29会社員の経費「特定支出控除」とは?確定申告で経費計上して節税対策!
税金2020.10.22会社員がもらえる年金の種類まとめ。将来年金はいくらもらえる?増やし方も解説!