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Apple製品でガジェットを統一する人間の、「相性の担保」の話

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 私は今現在、身の回りのガジェットの多くをApple製品で統一している。iPad Proを仕事で活用し、AirPodsで音楽を聴き、通話も行い、Apple Watchに届く通知をチェックする。言うまでもなく、スマホもiPhoneである。

 「Apple信者」と言われてしまえばそれまでだが、このApple統一に至るまで、私の場合は約十年を要した。どの携帯電話を使い、どのタブレットを使い、どのイヤホンや腕時計を常用するか。その選択を繰り返し、遂に辿り着いたApple統一路線。ここまで本当に長かったが、現状、満足度は高い。

 そんな「ガジェットのメーカーを統一する」ことについて、思うところを書き並べてみたい。

 今更私なぞが語るまでもないのだが、Apple製品の良さは、直感的な操作性と分かりやすいユーザーインターフェイスにある。その昔、初めてiPodを触った時の感動が、未だに脳裏にこびりついているのかもしれない。

 また、Apple製品で統一するとで、これも当たり前なのだが、シームレスな連携が可能となる。同じメーカーなので、当然のことである。AirPodsは耳にはめるだけでシームレスにiPhoneと接続できるし、iPad Proとの切り替えも簡単である。また、Apple Watchをまるでテレビのリモコンのように使うことで、iPhoneに触れることなく、音楽や通話に関する操作が可能となる。なるべく身軽な恰好でウォーキングをしたい時などは、iPhoneを家に置いたまま、Apple WatchとAirPodsを装着して外出。快適に音楽を聴きながら、GPSのログまで取ることができる。iPad Proのパワーも申し分なく、仕事で大活躍なのは言うまでもない。プライベートでブログを更新したり、iPhoneとアプリを同期させてデータをやり取りしたりと、捗ることこの上ない。

 ただ、私が主張したいのは、「メーカーを統一することの面白さ」であって、「Apple製品のセールス」ではない。過去にも色々と試したが、やはり同一メーカーの商品の連携性の高さ、その捗り具合には、目を見張るものがある。

 もちろん、この「Apple統一路線」に辿り着くまで、私も色々と試してきた。

 携帯電話はガラケーからスマホに替えるタイミングですぐにiPhoneを選んでいたが、一方のタブレットはそうではなかった。Lenovoから出ている2 in 1のYoga Bookや、AmazonのFire HD 10など、これまで、様々なメーカーのものを試してきたのである。価格帯もパワーもバラバラだが、だからこそ、触ってみた時の「面白さ」も千差万別。「この機能は変態的だけど楽しい!」「この値段でこういう遊びができるのはポイントが高い!」。そうやって、それぞれの利点と欠点を脳内で並べる数年間が続いた。

 イヤホンについても、同様である。そもそも、古いタイプの人間だからか、コードレスのイヤホンを選ぶことへの抵抗感から話が始まることとなる。やはり、コードを耳から垂らし、それがガジェットに繋がっている、あのスタイルへの愛着があったのだ。私は現在アラサーなのだが、世代的にはMDの流行がドンピシャ。学生時代、学校からの帰り道、絡みに絡んだコードを懸命にほどき、やっとこさ耳にはめる。その体験への愛着のようなものが、私の心を長年占めていた。

 しかし、愛着とは、存外脆いものである。初めて買ったコードレスのイヤホンは、Bluetooth対応のソニー製。「どんなものだろう」と使ってみたが、あまりの利便性に感動した記憶がある。愛着よりも利便性が勝る。このショックは、意外にも心地よいものだ。

 続く腕時計だが、これはそもそも「スマートウォッチを選ぶか否か」という判断からのスタートだ。新卒で入った会社を転職で辞めた時、そこそこの退職金を手にすることとなったが、当時の私はそれをずっと欲しかった割と高価な腕時計に注ぎ込んだ。腕に巻いた時の高揚感はよく覚えているが、腕時計界隈、特に男性のそれは、上を見上げたら本当にきりがない。「男だったらこれくらいのものは買わないと」と、自慢げにマウントしてくる人も少なくない。

 その点、スマートウォッチは、そういった腕時計界隈のいざこざと物理的に距離を置くことができる。これは実際に買ってから、やんわりと実感したことだが、いわゆるひとつの過渡期なのかもしれない。スマートウォッチにすれば、値段の上を見上げることも、下を目にすることもなく、「どの機種を選んだのか」という横並びの感覚に寄っていく。スマートウォッチも決して安い買い物ではないが、数十万円以上する腕時計を思えば、楽な買い物である。数年ごとに新しい世代に買い替えても、まだまだお釣りがくる。

 スマートウォッチについては、スマートリストバンドのFitbitも半年ほど愛用したし、ソニーの通常の腕時計のバンドと付け替えて使用するwenaという商品もギリギリまで購入を検討した。今現在、スマートウォッチは日進月歩で新作が登場しており、完全にデジタルのものもあれば、従来のアナログ腕時計との折衷をアイデンティティとするモデルなど、カタログを見ているだけで飽きないものである。

 それぞれのガジェットに、私の場合はこれらの背景があった。もちろん時期が重なっているが、約十年ほど。「あーでもない」「こーでもない」と、様々なモデルを試し、身に付けてきた。しかし、前述のように、最終的にはApple統一に落ち着いたのである。

 では、肝心の「なぜ特定のメーカーで統一するのが良いのか」だが、それはもうシンプルに、連携性の高さにある。iPhoneの通知がApple Watchに届き、AirPodsはシームレスにiPad Proに接続される。単純に、これらの連携性の高さを一度覚えてしまうと、もう「メーカー入り乱れ」の状態には戻れなくなってしまうのだ。

 もちろん、例えばApple Watch以外のスマートウォッチにiPhoneの通知を飛ばすことは、言うまでもなく可能である。しかし、例えば自分が常用しているアプリやサービスがそれに対応しているのか、あるいは、iPhoneの音楽再生をスマートウォッチで操作できるのか。これらを突き詰めていくと、どうしても、同一メーカーに勝る答えは見つかりにくい。結局はこれと同じことで、タブレットも、イヤホンも、その利便性と安定感に選択肢が集約されてしまうのである。

 異なるメーカーのガジェットを連携させて使うとすると、そこには「相性」の問題が生まれる。今や便利な時代で、ちょっと商品名で検索すれば色んな人のレビューを見ることができるが、「自分の使っているガジェットと」「自分が今欲しいガジェットとの組み合わせにおいて」「愛用しているアプリやサービスの連携性はどれくらいあるのか」という観点がピタリと合うレビューを見つけるのは、結構骨が折れるものだ。しかも、レビューは便利なのだが、そこには書き手の感性が当然のように挟まる。実際に買って使ってみると、「自分の体感だと連携に手間取る・・・」「なんかやっぱり遅いな・・・」となってしまうことは少なくない。

 その点、同じメーカーで統一すると、そういった心配から大部分で解放される。つまりは、「相性の担保」である。これだけ様々なガジェットが群雄割拠を繰り広げる現代において、この「相性の担保」は大きい。

 「対応機種一覧」という説明書のページに記載されている型番の羅列とにらめっこすることなく、それらを買いそろえることができるのだ。言うなれば、「判断しなくても良い」「悩まなくても良い」という状況そのものを購入している、とも言えるかもしれない。「相性の担保」は、Appleに限らず、ガジェットを世に送り出す様々なメーカーが売りにしているポイントである。

 例えば私の場合、結婚し、子宝に恵まれ、車や家のローン、教育費や老後の資金といった諸問題が立ち塞がる中で、「色んなガジェットを実際に買って試してみる」が許される余裕は、段々となくなってきた。更には、小さい〇〇電機がちらほらとあるだけの田舎住まいなので、当然、色んなガジェットを実際に触ってみることもできない。「買いたい物を試すために遠路はるばる都市部に出向く」という大きなひと手間が発生するのである。

 こういった状況においては、「相性の担保」がその存在感を増していく。もちろん私も、Apple製品以外に自分好みのガジェットが存在する可能性については、常々考えている。色んな代物に手を出して、それを組み合わせ、自分なりのオンリーワンな環境を創り上げる楽しさも知っている。しかしそれは、お金と時間と環境、その全てに恵まれてやっとこさ実行できるスタイルなのである。「同一メーカーで統一しない」、つまるところの「様々なメーカーを自分なりに組み合わせて使う」は、「持たざる者」には逆にハードルが高くなってしまうのだ。

 「同一メーカーでガジェットを統一する」スタイルは、ともすれば信者呼ばわりされてしまったり、大衆的だとヤジられたりもする。しかし、そう誰が叫ぼうと、その声が「相性の担保」に勝ることは少ない。「悩まなくとも、調べなくとも、試さなくとも、一定品質の環境を手に入れることができる」という、パッケージング。そしてそれを採用することで、「そのメーカーが提案するライフスタイル」にゆるやかに飲み込まれていく、この小気味好い無力感。気づけばいつの間にかApple Musicなどのサブスクリプションサービスに取り込まれ、加速度的に、そのメーカーと手を切ることができなくなってしまう。いつの間にか生活すら設計されてしまうも、それがどこか心地よい。「担保」の安心感。

 今はまだ、ノートパソコンやテレビなど、Apple製品で統一していないガジェットもいくつか所持しているが、数年後には一色に染まってしまうのだろうか。「持たざる者」だとしても、「組み合わせて使う楽しさ」は心中に残しておくべきか。もはや何に対して意地を張っているのか、自分でもよく分からないが、今は取りあえず、Appleの壮大なブランドに飲み込まれながら日々を過ごすことにしたい。

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結騎 了
仕事と育児に追われながら「映画鑑賞」「ブログ更新」の時間を必死で捻出している一児の父。歳はアラサー、地方住まい。ブログを学生時代から書き続け、二度の移転を経ながら十数年継続中。『別冊映画秘宝 特撮秘宝』『リアルサウンド映画部』『週刊はてなブログ』等に寄稿。ブログURL:https://www.jigowatt121.com/

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